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森林 健悟
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.150 - 153, 2006/00
重粒子線のBragg Peak付近の領域で重要な原子分子過程に関して研究を行った。この領域では、陽子線や線で見られるようにイオン衝突電離過程のほかに電荷移行過程,電子損失過程が重要になることが予測できるが、多くの評価済みデータが存在する水素原子,水素分子標的の断面積の原子番号(Z)依存性を調べ、各過程の断面積をZの式で表し、その傾向から重粒子線と水との衝突断面積を近似した。さらに、リチウム粒子線に関して、これらの衝突断面積とリチウムイオン・原子の基底・励起状態のエネルギーレベル,自動イオン化率,輻射遷移確率の原子データを計算し、核散乱を無視したモデルに適用させて、各原子過程のエネルギー付与への寄与を求めた。その結果、Bragg Peakのところ(約300keV/amu)では、90%程度電離過程がエネルギー付与に寄与しているが、100keV/amuのところでは、電荷移行と電子損失の寄与が10数%ずつあり、電離過程の寄与は70%程度であった。さらに、50keV/amuのところでは、電荷移行,電子損失,電離の寄与はそれぞれ約50%, 25%, 25%、10keV/amuでは、3つの過程の寄与は、35%, 25%, 40%となり低エネルギーでは、すべての原子分子過程が重要になることがわかった。